読了後即座に私の中の愛して止まぬ本リストにリストUPされました。 乙一さんの作品の中では『暗いところで待ち合わせ』と並んで1番好きです。
話は全編通して狂気系で、グロテスクな描写とか残酷なんですけど、 それを全く感じさせないのは流石乙一さんという感じです。 ただ淡々としてるんですよね。 「殺人」を「死」と感じさせない。
毎話ごとにトリックが仕掛けられてるんですが、それはあんまり引っかからなかったなあ。 全部当たってた訳ではなかったですが。
登場人物について語ると、主人公は器用だなぁ。と思いました。救いの全く要らない人。 彼は孤独なままがいいです。 森野さんは可愛いです。アレの嫌いようが…(笑)
最初は主人公と森野さんは似た人種なのだと思いました。 でも読み進めるうちに全く似ていないんだと気付きました。 二人とも「死」に魅了されているところは同じですが。
心の内側が空っぽのままでも笑える、人と会話をし、楽しく振舞うことの出来る主人公。 笑わない、人とは関わらない、一見「死」に近いイメージ、けれども内に感情が秘められている森野さん。 彼女のそこにとても「生」を感じました。
そして、殺す人間と殺される人間。
主人公と森野さん、限りなく孤独な人達です。
素直にお薦め、して良いのか迷う作品ですがお勧め(笑)したい作品です。
大岩ケンヂさんの漫画版もお勧め。大好きです!
no.4
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