長文テスト
2006/03/25(土) no.1
櫻の樹の下には屍體が埋まつてゐる!
これは信じていいことなんだよ。何故つて、櫻の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことぢやないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だつた。しかしいま、やつとわかるときが來た。櫻の樹の下には屍體が埋まつてゐる。これは信じていいことだ。
どうして俺が毎晩家へ歸つて來る道で、俺の部屋の數ある道具のうちの、選りに選つてちつぽけな薄つぺらいもの、安全剃刀の刄なんぞが、千里眼のやうに思ひ浮んで來るのか ―― お前はそれがわからないと云つたが ―― そして俺にもやはりそれがわからないのだが ―― それもこれもやつぱり同じやうなことにちがひない。
一體どんな樹の花でも、所謂眞つ盛りといふ状態に達すると、あたりの空氣のなかへ一種?~祕な雰圍氣を撒き散らすものだ。それは、よく廻つた獨樂が完全な靜止に澄むやうに、また、音樂の上手な演奏がきまつてなにかの幻覺を伴ふやうに、灼熱した生殖の幻覺させる後光のやうなものだ。それは人の心を撲たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさだ。
(櫻の樹の下には/梶井基次郎)より引用
Re: 長文テスト
2006/03/01 no.8
追記は日付横">>追記"ボタンより。追記に画像は貼れません。訪問者のコメント投稿などに。
Re: 長文テスト
2006/03/25(土) no.9
追記そのに。